不動産の競売と公売の違い
競売の行われる場所は管轄する地方裁判所で行いますが、公売については税務署や各自治体で行います。
競売の場合は一定の条件に該当すれば、引渡命令や強制執行の手続きができます。
公売の場合には所有者・占有者と話し合いが不調になった場合、民事訴訟による判決をもって強制執行の手続きを経なければならない場合もあります。
公売の場合は当日開札しますので、その日のうちに結果が分かります。
競売物件のメリットとリスク
ここ数年、住宅ローンの破綻が原因で競売に移行される件数が増加しています。それとともに一般個人の競売物件の入札参加も多くなっています。
ところで、競売での不動産取得はそんなに魅力のあるものなのでしょうか?
そこで入札する立場から、不動産競売のメリットとリスクについて検証してみましょう!
■競売のメリット
1.不動産競売を利用する最大のメリットは不動産を安く(市場価格の6~9割で)取得できる。
2.建物があっても消費税がかからない。
3.入札価格を自分で決める事により、予算に合った資金計画を立てやすい。
4.裁判所の職権により抵当権を抹消してくれるので、正常な物件として所有権を取得する事が可能。
■競売におけるリスク
1.物件の内部を見ることが出来ない。
2.一般物件と違い、前所有者は瑕疵担保責任を負わない。
3.現金納付が原則、不可能ではないが競売を扱う金融機関が少なくローンを組みにくい。
4.土地等の場合、境界確認がとれない事や公簿と実測の面積に差異があっても差額請求出来ない。
5.期間入札に参加する場合、売却基準価格の20%を保証金として提供が必要となります。
6.占有者の退去が必要。裁判所の強制執行による手続きもありますが、費用がかかる。
7.引渡命令の出ない物件もあります。
8.入札に参加しても落札出来るとは限らない。時間をかけて調査しても買い受けができない場合が多い。
又、競売の取下げ、取消し等により入札が中止になる場合があります。
このように、競売には思った以上にリスクも伴います。競売の3点セットの見方も分からないまま、安いという理由で落札したものの後になって「こんな筈じゃ・・・」となる事もあります。
個人の入札が多くなったとはいえ、さまざまなリスクを考慮して入札は競売のプロに任せるべきと考えます。
差押と仮差押の違いは?
「差押」という言葉を聞くと、一般的には耳障りのいい言葉ではなく、世間話しの中ではあまり話題にしたくない言葉かもしれません。ちなみに、差押には以下のような種類があります。
・土地や建物などの不動産
・車や貴金属などの動産
・預金や給与などの債権
では「差押」と「仮差押」はどう違うのか、不動産ついて確認しましょう!
不動産競売の場合を例にとると、「差押」は債権者が「債権額○○○円を支払いなさい」という「確定判決」をとり、それに基づいて、管轄する裁判所に不動産競売を申立てて行うもので、既に「債務名義」を得ているため、そのまま強制競売にかけて換価し配当へと移ります。強制競売にするには、この債務名義が必要となるのです。
一方「仮差押」とは、確定判決などの「債務名義」を取得するのに時間がかかってしまう事件では、判決を得る間に債務者が財産を隠したり処分するなどして、債務者の財産を減少させる恐れがあります。そのため、裁判所が不動産処分を禁じる仮差押命令を発し、それに基づいて仮差押の登記がなされます。しかし、裁判にて債権者が「確定判決」を取得するまでは、強制競売には移行されません。
簡単に解説すると、「差押」は債権者に競売で強制的に売られてしまい、「仮差押」は債権者が競売にするため、不動産の処分などをさせないようにようにする事です。
仮差押えは差押えの前段階と考えられますね。
なお、債権者は「仮差押」を行うには裁判所に対して予納金が必要となります。それは、万一「その債権が実際には存在しない」又は「債権者の主張が間違っている」などの判決が出た場合に、債務者が受ける損害賠償額を保全するためと言われています。
最終手段の競売
お客様から任意売却のご依頼を受けても、残念ながら競売に移行されてしまうケースが1割ほどございます。
その理由としては
1.債権者の価格の同意や担保権抹消のが得られないケース
2.連帯保証人や連帯債務者の協力が得られないケース
3.競売の入札期日が迫っていて、売却の期間が取れないケース
このような場合には、ご本人が任意売却を希望しても競売に流れてしまう結果となってしまいます。
保証会社や債権回収会社の中には任意売却による回収額を実勢価格よりも高く設定する債権者もおります。どんなに現状の相場を説明しても「方針は変えられない」という事で競売による回収を希望する債権者、又は後順位の担保権者でハンコ代はいらないから競売にして下さいという債権者も・・・
しかし、競売の入札が開始されても自宅を守る方法はあります。
A.弊社でお客様の物件を落札して、お子様など親族の方が買い戻す方法。
B.投資家さんに物件を入札してもらい、賃貸で借り受ける方法。
特に任意売却のご相談では、どうしても自宅を手放したくないという方も多く、親族間売買を希望されるお客様もいらっしゃいます。
しかしながら、現実的には親族間売買での住宅ローンの審査は厳しく、親族間売買が成立出来ないケースが多いのです。そこで競売落札によって名義を換え、その不動産を子供などの親族が住宅ローンを組んで自宅を買い戻す事が可能となってくるのです。
当然ですが、不動産競売では他の第三者も入札に参加しますので、必ずしも落札出来るとは限りません。
その入札価格の見極めが重要となってきますが、弊社では長く競売の事業に携わってきた経験からある程度落札価格を予想できます。
競売の入札が開始されて諦めるより、このような可能性にかけてみる事も必要でなないかと考えます。
競売の業務
弊社では任意売却に特化した不動産の仲介業務がメインですが、十数年前から自社での競売入札も行っておりました。「任意売却」と「競売」は、一見すると相反する業務のように捉えられますが、競売の一連の業務は任意売却を行う上で大きく役立っている事は事実なのです。競売の流れや期間・物件の評価額の査定方法・落札後の債務者(占有者)の心理や意向など、経験してみないと分からないスキルを得る事で任意売却の業務を円滑に進める事が出来るようになりました。
現在でも競売に興味をお持ちの個人の方から入札の代行を依頼される事が多いのですが、基本的に代行業務は積極的に行っていません。それは何故か?
代行の場合、自身の入札の場合と違ってお客様の資金を動かす都合上、より慎重に入札額を検討しなければならず、どうしても金額を抑え気味に設定し結果的に落札出来ないという事に繋がってしまいます。そのこと考えると、競売代行を行うには「繊細に数字をはじく人」よりも「大胆に物事を考える人」の方が成功するのかもしれませんね!
ちなみに、任意売却の仕事をするには前者の方が向いています。
弊社で扱う競売業務のサービスは以下のとおりです。
■代行業務
弊社は競売入札における様々なリスクやトラブルを回避するために、物件調査、売買事例の提示、入札額の相談、入札申請業務、残代金納付手続き、退去交渉、強制執行手続き等、競売入札から物件明け渡しまでの手続きをすべて代行して行ないます。
■請負業務
原則として利用できない銀行のローンを利用したい方や、名前を出したくない方のために 一旦、弊社が希望の物件を落札した後に、諸経費や手数料を上乗せしてお客様に売却する方法。但し、通常の場合は業者の手数料が最低10%~20%上乗せされるので、入札金額によっては競売のメリットが出ない場合もあります。
■競売共同事業
長年の競売業務の経験と実績を生かし、落札した物件の再販売により利益を上げ、出資いただいた投資家の皆様へ利益配当として還元するシステムです。なお、お客様自身が「不特定多数の人」に対して「反復継続」して取引を行う場合、宅建業の免許が必要になりますので注意が必要です。
競売は赤紙貼られるのか?
競売に直面されているお客様からの相談のなかには、マイホームが競売になると「赤紙が貼られる」とか、「怖いお兄さんが立ち退きに来る」とか不安に思っている方が多くいらっしゃいます。
安心して下さい。決してドラマの世界のように赤紙を貼られる事はありません。(最近はドラマでもそのようなシーンは見ないですが・・・)
競売開始決定通知書が来てから間もなく、裁判所の執行官が資料作りのため訪問して来ます。その時点でも近所に知られるような行為は一切ありませんし、執行官は怖い人でもないので落ちついて対応しましょう!
もし、貼るものがあるとすると落札後の強制執行する場合の「公示書」です。しかも、他の家族に分からないように室内の隠れた場所に貼ってくれます。
多くの方は、競売の通知書が来ても友人や親類にも相談出来ないケースがほとんでしょう。でも、慌てて引越の準備をしなくてもいいのです。通知書が来ても落札まで4~5ヶ月はかかり、その間は住み続ける事が出来ます。落札者が訪ねて来たら、ダメもとで引越代を要求してみて下さい。落札者が円満に解決したいと思えば10~20万円いただける場合もあります。
しかし、当センターでは競売になる前に「任意売却」を当然ながらお勧めしております。強制的に売られてしまうか、自らの意思で売却するか、不安な事は専門のスタッフに相談することで、前向きに考えられるようになると確信しています。既に通知書がきている方は早めにご相談下さい。
強制執行の断行
前回、不動産の執行手続きについて解説しましたが、強制執行の断行はどのように行われるのでしょう?
裁判所にて予納金を納め執行の手続きを終えると、日時を決めて執行官と補助人が同行し占有者のもとへ催告に向かいます。その前に強制執行をする日程を決めるのですが、原則として催告の日から1ヶ月以内に行います。ちなみに占有者には、催告の連絡はなく突然訪問しますが、チャイムを鳴らしても出てこないケースがあります。しかし、執行官は慣れたもの! ドアの郵便受けの隙間から「開けて下さい。裁判所です。鍵を開けて入りますよ」と大きな声で叫びます。大体は居留守を使っても、開けてくれます。
中に入ると補助人が室内の荷物の量を確認し費用の見積もりをとります。執行官は占有者に自主的に引っ越しされるように促しますが、強制執行の日時を伝え「公示書」を部屋の内部に貼ります。他の家族の事も考えてカレンダーなどの裏側の見えないところに貼ります。占有者は勝手にはがす事はできません。
実際の断行日には一般家庭でトラック2台分は必要になります。執行官及び鍵の解除人や運搬作業員も十数人と大がかりです。通常のお引っ越しとは違い、動産の目録を作成し家財一つずつチェックし、梱包してトラックへ運んで約2時間程度で作業完了です。占有者が何を言っても叫んでも強制的に行い、もし作業を妨害するような事があった場合には警察に連行されてしまいます。
運び出した家財は、保管場所に1ヶ月保管し引き取りを待ちます。引き取りがない場合は「動産の競売」にかけますが、一般的には値段の付きようのないものばかりです。当然ですが、お金に換えられるものがあれば既に引き取っているはずですね・・・
残った家財などは廃棄処分となります。
ところで強制執行にかかる費用はどの位かというと、50万円から100万円と荷物の量により異なり、大きな一戸建てになるとその費用も多額になってしまいます。本来その費用は占有者に請求できるのですが、回収はほとんど見込めないでしょう!
なるべくなら、競売の買受人も余分な費用と時間はかけたくないのが本音ですので、引越代20万円程度で速やかに退去していただき円満に解決する方法が得策と考えます。
不動産の執行手続き
近年、不動産の競売に興味を持たれ入札に参加される個人の方も増えております。しかし、競売となると一番心配なのが占有者の立ち退きの問題です。そこで不動産が競落され、その後どのような手続きを踏んで強制執行されるのか簡単に解説したいと思います。
競売の場合、入札期間が終了して1週間後に開札が行われ、一番高く入札した個人・法人に対して売却許可決定がなされます。その通知が来て2~3週間後に残代金の納付をし、裁判所の職権で不動産の所有権が落札者に移転されます。一般的には、落札した本人または代理人が直接、占有者と交渉し引越等の話し合いをします。場合によっては10万~20万円程度の引越費用を支払って立ち退きを行うケースもあります。しかし、占有者と連絡が取れなかったり立ち退き交渉に応じてくれなかった場合、最終的に強制執行をしなければなりません。
落札者は所有権移転後、原則6ヶ月以内に引渡命令を取り、その証明書に執行文を付けて裁判所に申立を行います。東京の場合、目黒の民事21部にて引渡命令と執行分をとり、その書類を持って霞ヶ関の東京地裁に予納金を納めて執行申立をします。更に、翌日以降の朝8:45分~9:20までの間に執行官の面接をしなければなりません。その面接でまず催告の日を決めます。
また強制執行では占有者の動産(家具や荷物)を運び出さなくてはならないので、執行官がその場で運搬業者を紹介してくれます。朝、地裁の執行官室に行くと部屋の前には20人程度の怪しき人々がたむろしています。執行官に聞くと彼らは不動産執行の仕事を受けるために朝から待っている業者との事。
催告の日には占有者が留守の場合や出てこないケースもあるため、鍵の解除人も同行します。そこで室内の動産を確認し費用の見積もりを取ります。また、運び出した荷物は1ヶ月間保管しなければならず、その保管料の費用もかかってきます。
このように強制執行には手間と費用がかかるため、可能ならば占有者と円満に交渉して明け渡しをしたいところですが、入札前の段階から立ち退き交渉などは出来きない事や、占有者の人物像など不明であり、やむを得ず強制執行しなければならない場合もあるのです。
実際の強制執行については次回ご報告いたします。
執行抗告
競売物件の落札すると通常、その買受人に対し裁判所から売却許可決定通知が届きます。一般的に落札から10日から2週間位で届くのですが3週間経っても届かず裁判所に確認してみると「占有者(所有者)が異議申し立てをの抗告をしています」との事。
こうなると書類が高等裁判所に送られ1ヶ月以上は棄却されるまで待たなくてはなりません。競売の場合、占有者が物件引渡を意図的に延ばす手段としてよくある事ですが、ほとんどのケースでは棄却となります。
今回の場合も、暫くして棄却命令が出て代金納付通知が届き、残代金を納付して所有権も無事移転されました。落札者は代金納付と同時に占有者に対して引渡命令を出す事ができます。これは占有者が物件の明け渡しを拒否した場合に強制執行するために必要となります。
しかし驚くべき事に、今度はその引渡命令に対して執行抗告を申し立ててきたのです。一度棄却されたにも拘わらず2度までも!
裁判所の方も「ここまでされる占有者は居ません」とのご意見でしたが、あきらかに制度を悪用した明け渡し引き延ばし作戦です。占有者と話す機会がありその事を訪ねてみると、やはり引越をギリギリまで延ばしたいとの理由でした。これにはただ呆れるしかありません。
このようなケースは滅多にありませんが、やはり競売という特殊事情の物件を購入される場合は、そのリスクも考慮しなければなりませんね。
競売の取り下げ
競売の入札においては取り下げされるケースが良くあります。 債務者は執行停止文書を裁判所に提出して競売手続の停止を求めることができ、執行裁判所がこれを認めると、競売の手続は取消されます。なお、競売を申し立てられた債務者からの取下げは出来ません。
競売開始決定通知が届いた後でも、任意売却により債権者との合意ができ円満にまとまれば競売を取り下げも可能となるのです。
ただし、債権者側としては競売の申立てに相応の費用がかかり、申立て後は任意売却に応じないケースもありますので、債務者は競売開始決定される前に任意売却専門の会社に相談される事をお勧めします。
競売の取り下げの期日は競売開札日の前日までとなっています。開札後でも売却許可決定確定前なら、執行抗告を提出し確定を止め、競売申立人に競売申立を取下げてもらう方法もあります。買受人が代金を納付した後は取下げできなくなります。







