住宅を購入する際、一般的に住宅ローンを組みますがその支払期日が期限の利益の期日であり、その期日をきちんと守って支払いを続けていれば何も問題はありません。
しかし、差押や破産などの法的債務整理、それにローンの滞納があった場合に債権者としてはその期限まで待つ事は当然できなくなります。そのため金銭消費貸借契約書には必ず「期限の利益の喪失」の条項が入っています。この条項に該当すると、「期限の利益を失いましたので、全額を一括して支払って下さい」という通知書がきます。
通常、3ヶ月以上住宅ローンの支払いを遅滞すると、期限の利益を喪失となりますが、その前に債務者が自ら「期限の利益を放棄しますので、任意売却を認めてください」と申し出でも、原則これに応じない事になります。任意売却をするにはこの期限の利益喪失が条件となるのです。
ある任意売却業者は「支払いが出来ないときは無理して払うな」といいます。(確かそのような書籍もあったかと)、それはなぜか?期限の利益喪失後「任意売却」をするためです。
はたして、それが良いかどうかは債務者の現在の状況をふまえての判断となります。場合によっては、収入もあり他の債務が少なければリスケジューリングによって自宅を売却せずに済むケースもあるからです。
期限の利益を失った債権は「事故債権」となり信用情報機関に登録されます。それをクライアントが本当に望む結果かどうかを私たちは判断しなければなりませんね。