前回のコメントで生活保護の件を記載しましたが、日本の憲法では国民に対し「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています。しかし、生活に困ったからといって申請しても生活保護を受けるのはそう簡単ではありません。適用してもらうため準備や心構えが必要となります。参考までに簡単にまとめてみました。
<受給される対象は?>
○生活困窮状態にある事が必要となります。
国では生活保護基準を定め、収入がその金額を下回っている場合には生活に困窮していると判断します。世帯人数にもよりますが、一人の場合は収入が12万円程度がラインかと!なお、年金や手当などの受給は収入として計算されます。
<どこに相談に行くのか?>
○市町村の役所にある福祉事務所に相談に行きます。
ただし、役所と言っても生活保護の申請は住民登録のように簡単にはいきません。役所としては生活保護が増えれば社会保障費も増えてしまいます。ですので、相談に行ってもあまり歓迎されないのです。まして、ケースワーカーの人員不足もあり、申請を受けたくないのが本音なのです。
○適用は簡単ではありません。
最近では生活保護の不正受給が問題にもなっており、相談員はまず疑ってかかります。そして「仕事を真剣に探しているのか」「親族で扶養してくれる人はいないのか」しつこく聞かれます。そして、「あなたの場合はこれこれ、こういった理由で適用されません」と言われ、とても辛い気持ちで帰され「もう二度と福祉事務所には行きたくない」と諦めてしまう方も多いようです。特に65歳未満の稼働年齢層ではより難しくなります。
<申請するには、どのような準備が必要か?>
○資産がないことを確認
不動産や車・多額の現金など所有していると受給できません。不動産を所有していても、すでに競売の申し立てや任意売却での売却が決まっている場合は、競売開始決定通知書や売買契約書を持参します。
○借金がある場合
相談員は「借金があると生活保護費が借金返済に回されてしまう」という理由で断ろうとします。これは一見正当な理由にも思えるのですが、しかし、本当に困窮している人が借金があるからという理由で受給を受けられなければ、その人は破滅し、ただ死を待つしかなくなります。ですので、借金があっても「これから法律の専門家に債務整理を依頼します」と伝える事で問題は解決します。
○求職活動の証明
福祉事務所では、一生懸命仕事を探しているかどうか確認しますので、できる限り求職活動の証明できる書類を準備します。ハローワークの場合、求人カードを発行してもらい来所の印をもらいます。
○病気やケガで働けない場合
病気やケガなどの理由でどうしても働けない場合は、費用がかかりますが病院の診断書を取得し提出します。
○親族に連絡しておく
福祉事務所は申請があった場合、「扶養照会」といい、本人の親族(親・子供・兄弟、場合によっては離婚した夫)に「○○さんが生活保護の申請をされていますが、援助できませんか?」というような書類を送ります。親族にはあらかじめ、その旨の通知が来る事を連絡しておいた方が良いでしょう。
○同席を希望する
福祉事務所では本人のプライバシーを理由に同席を断るケースもございますが、そこは粘り強く交渉し認めてもらいます。仮に一人で相談に行くと、担当者にもよりますが厳しい言葉(時には侮辱的な発言)を受ける事があります。それだけで、あなたは気が滅入ってしまい「もういいや」となってしまいますので、できる限り知人等に同席してもらいましょう!第三者がそこに居てメモを取るそぶりをするだけで効果絶大です。
○生活保護は最終手段と考えて望みましょう!
最初から「福祉事務所が何とかしてくれるだろう」という考えは捨ててください。簡単に認めてはくれませんので、安易に申請しても断られるだけです。生活保護は本当に困窮している方の最終手段です。また、あなたが本当に生活に困窮状態であるならば、一度断られても諦めず何度でも訪問すべきです。断られた事由を改めて次に望めば良いのです。