ひと昔前の競売物件は、競売専門のプロや不動産業者入札参加がほとんどでした。近年では、法改正などの影響で一般ユーザーでも入札に多数参加するようになり、落札額も東京都内では実勢価格に近い金額まで高騰しているようです。それでも尚、競売物件の入札には様々なリスクを伴う事を承知のうえで参加すべきとお伝えしたいのです。
平成17年に競売をめぐってこのような判例がありました。
競売で落札した物件が、調査報告書に記載のなかった事実関係(自殺があった事)を後から知り、裁判所の執行官と評価人に調査義務違反による損害賠償請求を起こした事件です。
判決の結果は、棄却となりました。理由は”現況調査において、所有者の協力が得られない事と自殺をうかがわせる情報がなかったため、執行官の注意義務違反があったとは言えない”との内容。
このような事件や事故があっても本人の告知や情報提供がない限り、裁判所の責任を問えないという事になり、最終的には落札者が泣き寝入りする結果となります。しかし、競売の3点セットに記載されている売却基準価格は、実勢価格の50%~70%程度な訳で、このようなリスクが有ることを含めた価格となっている事を暗に示しているように感じます。
では、裁判所で知り得ない事実を自分で調査する必要があるのか?実際に度胸のある方は所有者へ直接訪問したりする人もいますが、所有者やご近所に”ここで事件や自殺はありませんでしたか”と聞く事などは通常は出来きません。また、確実に落札出来る確率が低い競売市場において、1件1件を詳細に調査する労力は無駄な作業となる可能性が高いのです。
このような自殺物件は希なケースですが、私たちが実際に体験した例として、マンションの滞納管理費額が評価書と異なっていたり、内部写真にはなかった大量のゴミが残されたケースや、動物の死骸があった例もありました。不動産会社が物件の仕入行為で落札する場合は、このようなリスクや損害があっても想定内ですが、個人入札のケースでは落札額は安くななければ意味がないと私は考えています。
現在、不動産競売の流通を推奨する専門機関もあり、一般個人も気軽に競売に参加されているようですが、一部ではその加盟企業とトラブルが起きている事も耳にします。代行会社に依頼する場合、業者はお客様が落札できなければ報酬が発生しないため、落札できるような実勢価格に近い入札額を提案される事も考えられます。高い金額で落札し且つ、リスクを負う必要があるため、落札後に「あの時に無理をしなければ良かった」と後悔しないようにしたいところです。
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