<本人及び家庭の原因による内部的要因>
住宅ローンの破綻した債務者の方と接する機会が多くあり、様々な人間模様も目の当たりにしてまいりました。債務者本人の浪費癖やギャンブルが原因で破綻するケースがありますが、これに関してはご本人の問題ですので何もアドバイスはありません。
しかし、相談のなかで特に多いのは「離婚」によって生じる金銭的な問題なのです。これは金銭的な事が原因で離婚になるのか、元々離婚が原因でローンの支払をストップしたのかは別にして、離婚後にマイホームを巡って大きなトラブルとなる要因です。
離婚後、ご主人様がローンを支払う約束でそのまま奥様とお子様が自宅に住んでいたものの、ご本人は別の生活もありながらの住宅ローン返済の負担は重くのしかかります。それまでは、何とか返済してきたローンも離婚を機に滞納するパターンは多くあります。特に奥様が連帯保証人や連帯債務者になっている場合では、離婚しても銀行は奥様の連帯保証人を外してはくれませんので、ご主人様の破綻によりその債務の返済義務が奥様に来てしまう事となってしまいます。
ご夫婦の縁は切れても借金の縁だけは切れないで残ってしまうのです。
このような場合、離婚後でもお互いに協力して「競売」を回避すべきと考えます。
任意売却によって残債務を少しでも減らす事と、引越代を捻出して再出発の足がかりにして貰いたいと願います。
<経済状況悪化による外部的要因>
<無理な返済計画>
一般的に金融機関にて住宅ローン審査をする場合、「返済比率」という言葉を耳にする事があります。
年間のローン返済額が年収の30~35%以内であれば、住宅ローンを組む事ができるのです。 不動産を販売する営業マンは、この返済比率という数字のマジックを利用し「お客様の年収からすると○○○○万円まで購入可能です」というセールストークで何とか高額な物件を販売しようとします。まして、この低金利時代では借入可能額は上がってくるのは当然の事。
住宅ローンを組む場合の注意点は、お客様の「借入可能額」ではなく「返済可能額」を考えるべきなのです。今後増える教育費や保険料、家の修繕費、管理費や固定資産税の支払いなどを考慮して、毎月いくらなら返済可能なのかを検討しなければなりません。
近年では住宅購入を促進させる目的もあり、購入価格に対して100%のローンを組む事が可能となりましたが、この事も住宅ローン破綻の要因となります。100%ローンで借り入れし、数年後に売却しなければならない事情が起こった場合、売却代金で返済出来ないケースが多く見受けられます。この場合、どうするか?
「不足分を身内から借りて返済」するか、数ヶ月間滞納をして「任意売却」するという選択になってしまいます。住宅の購入にあたっては、不動産の営業に惑わされずある程度の自己資金の蓄えをし、しっかりとした返済計画で購入を検討すべきです。
住宅ローンを組んでマイホームを購入した方なら、皆さんが経験されていると思いますが、ほとんどの民間金融機関ではローンの審査の段階で団体信用生命保険(団信)に加入させられます。
これは債務者がローンの返済中に亡くなったり高度障害となった場合に、本人に代わり保険会社が住宅ローンの残額を払うというものです。この団信は債務者本人が亡くなっても、残された家族にとってはそのまま住み続けられるので安心なシステムです。
ちなみに、保険料は誰が払ってるのかというと銀行が負担しています。(実際は金利に加算されています) しかし、フラット35を扱う住宅金融支援機構では、この団体信用生命保険は「任意」となります。加入する場合の保険料はお客様の負担であり、一般的に住宅ローンの返済とは別に年1回の支払いとなっているのです。
さて、この団体信用生命保険に加入している段階で、住宅ローンが支払えなくなり任意売却した場合どうなるのか? また、いつまで保険の効力があるのか検証しましょう!
民間の金融機関で住宅ローンを組む場合、一般的に保証会社をつけます。お客様のローンが滞り期限の利益を喪失すると銀行は保証会社に代位弁済を求めます。保険料は銀行が負担していますから、代位弁済した時点で保険の効力は失ってしまいます。ですので、代位弁済後にご本人が亡くなったても保険会社から支払われないため、ローンの残高は残ってしまいます。
亡くなった本人には請求は出来ませんが、連帯債務者や連帯保証人がいるケースでは問題ですね!
では、住宅金融支援機構のケースではどうでしょうか?
前述のとおり、フラット35などでは本人が任意で団体信用生命保険に加入し、本人が保険料を年払いしています。この場合、住宅ローンを滞納し期限の利益を喪失しても保険の効力は維持されます。しかも、任意売却をした後ても1年間の保険料を払っているため、本人が亡くなった場合には保険料は支払われるのです。そのため債権者はその任意売却後の残債務弁済に充当する事が出来るのです。
このように、民間の金融機関と住宅金融支援機構での団体信用生命保険の取扱いが大きく違います。任意売却する場合の注意点として記憶しておくべき内容ですね!
昨年、完全施行された貸金業法の総量規制の概要は、住宅ローンや自動車ローン・クレジットカードのショッピング枠を除くカードのキャッシングや消費者金融などの融資額を年収の3分の1までに抑えるという規制を設けました。
その影響は施行後半年くらいから影響が出始めています。例えば、住宅ローンを組んでいる方が様々な事情で収入が減ったり、ボーナスカットにより住宅ローンの返済が困難になるケースがあります。このような場合、多くの方は何とか住宅ローンを支払ってマイホームを守ろうとします。そのためにカード枠を利用して住宅ローンの返済にあててしまうのです。そこに総量規制によって今まで何とできた資金繰りは破綻してしまいます。
このケースについては、総量規制がなくても高金利の借入が増えてしまう訳ですから、いずれ破綻する運命だったかもしれません。
しかし、不動産の担保余力が十分でも借り換えできないケースもあります。
仮に、不動産の評価額が5,000円程度で、住宅ローンの残債が1,500万円、家のリフォームなどの費用のための借入が1,000万円あるとします。お客様は2重のローンを支払う負担が大きく、これを1本化して毎月の返済額を減らしたいと考えます。従来なら、5,000万の物件に2,500万の借り換えをするのであれば金融機関も喜んで融資してくれたでしょう!ですが、ここで総量規制の問題が出てきます。1,500万円の住宅ローンの借換はできてもそれ以外の1,000万円については総量規制の対象となってしまうのです。
このケースでは、やむなく自宅を売却するしかなくなってしまいます。
当センターでは、このような原因からお客様からの相談件数が日を追うごとに増加しています。形は違いますが、バブル時代に不動産の高騰を抑制するために行った総量規制が原因で不良債権が増え続け、住専などが破綻した時代を思い出しますね。
また、総量規制によってヤミ金やクレジット詐欺などの悪質な金融も多くなっている現実、貸したい金融機関、借りたい消費者の間に国が規制をかける必要があるのか疑問です。
自宅を購入の際に多く方は住宅ローンを組みます。そこであまり気にされていないのが抵当権の設定者の事です。一般的には、借り入れした銀行が抵当権者となるはず・・・・
しかし、よくよく登記簿謄本を見ると「○○○保証」というような登記がなされています。 それは何故か?
保証委託契約を結んでいる場合、債務者が期限の利益を喪失すると貸付けた金融機関が保証会社から代位弁済され、債権者は銀行ではなく保証会社に移ります。同時に抵当権者も保証会社となるのです。
代位弁済後に債務者がローンの残額を支払わないと保証会社は競売の申立を行います。このとき抵当権者の登記が銀行となっていると、保証会社に抵当権の移転登記を行い、それから競売の申立を行うこととなります。
当然ですが、抵当権の移転登記には費用と手間がかかります。そこで住宅ローンの抵当権設定登記を行う場合、競売になる事を見越して、最初から保証会社が抵当権者になっているのです。
意外に知らない登記の仕組みですね。
<参照ページ>
代位弁済とは?
住宅ローンを返せなくなり、家を手放す人が急増している。不動産競売流通協会の全国調査によると、銀行などが強制的に売るために裁判所の競売にかけられた一戸建て住宅とマンションは、2009年度には08年度の1.3倍の約6万戸に達した。一方、09年度に新築された住宅は約80万戸。新たにマイホームの夢をかなえた人がいる陰で、多くの「住宅ローン破綻(はたん)」が起きている。
日本銀行によると、銀行と信用金庫の貸し出しに占める住宅ローンの割合は、00年度末の13%から09年度末には21%に増えた。
「貸し過ぎ」の一方、借りる人たちは、返済できないリスクが高まるばかりだ。(参考:asahi.com)
みずほ銀行は住宅ローンの借り換えを検討している顧客向けに、来店せずインターネット上の手続きだけで融資の可否について事前審査を受けられるサービスを始めた。仕事や子育てなどで多忙な人に他行からの借り換えを促すのが狙い。
新サービスは現在利用している他の金融機関の住宅ローンについて、物件の詳細や借入額、返済状況などをホームページ上で入力してもらう。銀行側は本人確認をしたうえで、電話や郵送でほぼ1週間以内に融資の可否を知らせる。正式申し込みの際は必要書類を持って支店を訪れなければならない。
(参考:朝日新聞)
中小企業や個人の債務返済を猶予しやすくする「中小企業金融円滑化法」が昨年12
月4日に施行されたのを機に、住宅ローン返済に関する大手銀行への相談が急増し
ている。三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行は相談件数が施行前の約5倍になり、担
当者の増員などに動き出した。背景には冬のボーナスの減額でローン返済が困難に
なる人が増えている事情もある。
三菱東京UFJ銀行は1日平均二十数件だった住宅ローン返済の相談件数が、金融
円滑化法の施行後は100件以上に増えた。みずほ銀行も12月以降、店頭などへの相
談件数が夏ごろに比べ5倍以上になり、三井住友銀行やりそな銀行でも2~3倍に
増えている。(参考記事 日経新聞)
これは低迷する経済の問題だったり、融資する金融機関の審査の問題だけではなく、
不動産業者の営業方針にも起因するところがあり、審査が通るかどうか微妙な顧客
に対して無理な融資付けをして引渡が終われば「後は関係ありません!」という営
業マンが多いことも事実であり、これではいつまでたっても日本の不動産業界全体
のイメージも向上しないでしょう!
近年は不動産会社にファイナンシャルプランナーをおく会社も見受けられますが、
本当の意味でお客のためにアドバイス出来ているかは疑問です。
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